frantic87's diary

書きたいときに、書きたいから書く

手札の数

一流の才能を持つ人たちは言葉遣いひとつとっても別格。無駄な言葉を重ねるようなことはせず、シンプルかつシャープな話し方をする。

 頭の中にはきっといくつもの表現の選択肢がある。でも実際に言葉にするときは1通りの表現を選択することになる。自分の持つ手札の中から一番良いものを選んで言葉にすることになる。その言葉のプールが常人には10しかないところを、天才は100も1000も持っているのだと思う。

剣道においても、達人と呼ばれるような人は自由自在な動きをする。力強く攻めて相手を強引に崩す、相手の技を引き出して返す、剣先で相手の気を殺す、前後だけでなく左右に体を捌く…etc. 身についた技の選択肢からして違うのだと思う。一足一刀の間合いからシンプルな正面打ちにいくにしたって、その前の微妙な攻め合いにいくつものパターンがある。

天才はものを見る解像度が違う。同じ事象を前にしたときに引き出せる情報量の違いと言ってもいい。クオリアなんかの哲学的な屁理屈を持ち出す以前に、この人には自分と見えている世界が違うのだなと思い知らされる。